インパクトのある古書です☆ 医学書とユダヤ人病院の話

こんにちは☆

松浦です。

さっき行って来たばかりの古書の市で
とても興味深いご本(医学書関係)がみつかりました。

※ややグロテスクな画像を含みますので
不快に思われる方は続きを読まれる事をお控えください。

本書
"Anatomie und Physiologie"
von WALTER LUSTIG (Zweite Auflage)第2巻1冊
解剖学と生理学のご本は
ベルリンのユダヤ人病院の医院長であった
Dr.Walter Lustig ( 1891-1945 )
によって書かれたご本です。











!!

すごい角度からの
心臓です、ね......



ナチスの支配下にあった時代のドイツ
ベルリンの真ん中では不思議な出来事が起こったといいます。

ユダヤ人が皆強制収容所へ送られ
ベルリンから完全に姿を消した頃
ベルリンにいながら約150人のユダヤ人が死なずに済んだ
というのです。

なんと、ナチスは病んでいたユダヤ人を病院に送り
体調を回復させた後強制収容しようとしたようで
このユダヤ人病院には病気や怪我のユダヤ人入院患者がいたのです。

著者Dr. Walter Lutig は
ユダヤ人病院の医院長でしたが自分自身ユダヤ人で
した。
この時代とても辛い情況下にあったに違いありません。

ユダヤ人病院には従業員が大勢いたので
ナチスは医院長の彼に
”従業員の中から計91人、不要な人物を選べ”
と無理矢理選ばせ、その91人は強制収容所へ送られ
(後に殺害され)たそうです。


この本が出版された1933年から5年後には
ユダヤ人だという事を理由に
医師免許も取り上げられてしまいます。


戦後
Dr. Walter Lutigは医師として復帰しましたが
あるとき、
ひとりの男が彼の元へやってきて
”私の母親はお前に殺されたんだー”
と叫びました。

ナチスの元で働かされた時代に
強制収容所送りになる91人を選んだ際
彼の母親がそこに含まれており
恨みをかったのです。

その騒動をソビエト(ロシア)軍が聞きつけ、
Dr. Walter Lutigの行いがソビエトの裁判にかれられました
”ナチスの医師だった”と判断された
Dr. Walter Lutigは
1945年判決によって処刑されました。

参考http://de.wikipedia.org/wiki/Walter_Lustig

Dr. Walter Lutigは
ナチスの時代たくさんの人をかくまって助けたという説、
そしてたくさんの人を殺したという説が両方存在しています。

真相は分かりませんが、
第一次世界大戦の最中
ボランティアで戦場医師を努めたような人物が悪い人とは
私には思えません。。。