宗教改革時代を生きた彫刻家、個人的にすごく好きな作品集です。 

こんにちは☆

松浦です。

今日は雨で外は冷たいですが、猫鑑賞で心が温まっております。



(モフり倒されて疲れた様子。)

ところで、今日は
今の所日本の皆様のお目に留る機会の少ない
古書、個人的に好きなインゼル545番の彫刻の作品集を
ご紹介したいと思います。



このご本に収められる作品を残したのは
この方、



ティルマン・リーメンシュナイダー氏。
宗教改革者ルターの生まれるちょっと前の時代から
宗教改革時代を生きた彫刻家、
ゴシック後期の作家としてはとても偉大な人物でありながら
若い時代の記録がほどんど無いのは、
彼がいくつもの都市を旅しながら彫刻を学んだからではないか
と考えられているそうです。

ゴシックから、ルネッサンスへの移行期間の芸術家、
作品は、後期ゴシックのスタイルを基本に、
その後マニエリスム
(ルネッサンス全盛期の調和のとれた美しさとはちょっと違う)
の特徴をとらえる作品に変化してきたと言われています。


有名作である、
ローテンブルグにある祭壇
”聖血の祭壇”が1ページ目に掲載されております。





拡大



Holy Blood Altar Jakobskirche, Rothenburg ob der Tauber
(1501—1505)


このシーンにお心辺りのある方、
多いかと思われます。

よくご紹介している古い祈祷書などに出てくる光景↓



最後の晩餐の席で、イエスが

”このメンバーの中に裏切り者がいる。”
と言って皆が驚き...!

イエスの胸元にもたれかけ、悲しそうに
”それは一体、誰なんですか?”と問う愛され美少年のヨハネ


明らかに他と違う様子で
背を向ける角度の裏切り者ユダ、
(の拡大)



この布袋の中には、イエスの居場所を密告した報酬として
得た金貨が入っているそうです。

裏切り者が誰であるかを知っているイエスは
ユダ本人にしか分からない方法で
ヨハネの問いに答えユダをヒヤっとさせる



緊迫の1シーンです。


参考http://reliquarian.com/tag/tilman-riemenschneider/

ヨーロッパの芸術と宗教は切り離せない存在なのですね。

さて、
彫刻を数多く手がけるのみならず市長も努めた事のある
リーメンシュナイダー氏でしたが

時は宗教改革の混乱の中でしたから、
元市長として農民戦争に加担したとして逮捕され
拷問の末、両腕をおられてしまいました。

それにより
彫刻家として芸術のキャリアを終える結果となりました。
自由の身になっても、彫刻家として復帰する事ができないのは
本当に残念な事ですね...