久しぶりにドイツの他の地域の様子&今週の読書

こんにちは☆
松浦です。

先週末コロナ関連が始まって以来初めて、他の地域へ足を運びました。
ベルリンを離れたのはもう数年ぶりのことです💦
🇩🇪こちら、医療マスク着用義務のある長距離列車での移動はなかなか厳しいものがありました☕️



今回はナーゴールドとという街へ所用で訪れていました。



あの黒い森が近くにあることで有名なエリアの小さな街です。
シュトゥットガルトからは車や列車で1時間くらいの場所にあります。

ナーゴールドでは土曜日に開催されるというファーマーズマーケットに寄りましたので
その様子をお届けしたいと思います。




色とりどりのお野菜が美しい🌈
キャベツ1個を丸ごと押しつぶして作られたこんなザワークラウトは初めて見ました❗️
ザワークラウトとは、アジアのキムチに近いかもしれませんが、ドイツの伝統的なキャベツの漬物です。


ご案内ありがとうございました。

さてこの旅の移動中私が読んでいたのは
スザンナ・クラーク著書のピラネージという本でした📚



結局、マスクが息苦しくて集中できなかったので帰ってからほとんど読みました。



感想...
ピラネージは簡単にあらすじを要約することがほぼ不可能なほど
不可思議な本です。
設定は家というふうに定義されていますが、
主人公が存在する場所は家屋というよりも
夢に無理やり形を与えたような異空間。
その地上階には海流が渦巻くような海原が、上の階には空が広がっています。

主人公はこの家の美しさを何よりも愛しており、
そこでの暮らしを一切不満に思ってはいません。
とはいえ、注意していなければ食料が尽きたり、燃料切で凍え死ぬ危険と常に隣り合わせです。
彼は常に魚の皮を干してレザーにしたり、海藻を乾かして燃やす為の資材を蓄えています。

この主人公に名前はありませんが、本の中では
ピラネージというニックネームが与えられ、そう呼ばれています。
彼は科学者としてこの異空間で起る些細な出来事を記録し、ある研究を続けているらしいのです。

ピラネージはもう一人の男と、十三人の死者と暮らしています。
彼にその呼び名をつけたのもその男(他者)なのでした。
ピラネージは唯一の話相手である他者に、何かと感謝し、情報を共有し、交友関係を築こうとしているようです。
そんなある日、この家に新たな人間の存在がチラつきはじめます。
ピラネージは自分の命に危険が迫っている事を忠告されるのでした。(つづく&ここからの展開が肝心)

もう、この一連のストーリーが
読者からすると、精神の錯乱する薬を打たれつつ牢獄に閉じ込められ、
搾取され続けている人とその奇行に見えるのです(°▽°)

普通の人間にとって、ある程度の空想を練るには、イメージできる素材が与えられる事が必須だと思うのですが
日付もなく、名前もなく、地域の説明もなく
全てにおいて現実世界との境界線があやふやなのです。
そのような事で最初の70ページほどは、ひたすらナンセンスの蓄積。
読めば読むほど船酔いするような、頭が混乱する感じの迷宮系奇書でございました☕️

”芸術に意味など必要ない”
と、誰かに言われた事がありますが🤔
確実に意味を求めてはいけない本です。

想像と科学のオーバーラッピングから、
最後は一通りの謎が解けてスッキリ、と思いきや。
よくよく考えたらやっぱり謎のままでした。

感覚的な変動を楽しむ目的で読むなら
良書だったのかなと思います😂


さて、
この本の構造に確実に影響を与えている、ピラネージ本家。

18世紀イタリアの画家、建築家
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージの作品集を
合わせてご紹介したいと思います。
https://archangel.ocnk.net/product/4107





https://archangel.ocnk.net/product/4107

ピラネージは建築家であると同時に、さまざまな技術や芸術の分野で卓越した技術のレパートリーを持っていたそうです。
空想や実在の題材、建築や舞台のデザインなどの製図を得意とし、
工学や幾何学の理論と実践にも精通し、エッチングにも優れていました。

彼は自分の才能をすべて発揮して世界、つまり人々の生活様式や場所に革命を起こすことができるのは、建築でしかないと確信していました。
ピラネージは、この野望を実現するために、彼の芸術活動の中心となる都市、ローマに移り住んだそうです。
ピラネージにとって、古代ローマの遺構の中で生活することは、文明の中心に住むことに等しく
堕落し、腐敗し、軽薄になり、過去にの栄光に釣り合わなくなった(当時の)ローマの再建に尽力したとのことです。

本作はそんなピラネージによる
古代そして近代ローマの都市景観、一部に版画連作”牢獄”の含まれるる版画集(137点のエッチング)となっております。