自立した女性の代表格 ドイツの強い女性の作品なんです

こんにちは☆

松浦です、


ドイツに住んでいると
この国の女性は強いなー...!とは日々思うのですが
それは近日の事であって
昔から自立した女性像というのがここにあった訳ではないのです。


そんな中、
今日ご紹介する女性アーティストは
自分をしっかりと持っており
そのがんばりによって徐々に評価を得て
とうとう彼女の肖像はドイツの通貨や切手にもなってしましました。



マリア・ジビーラ
Anna Maria Sibylla Merian(1647-1717)

時々ご紹介しているインゼルのご本



スリナムにおける熱帯の植物や昆虫の彫版
を手がけたのが彼女です。

ドイツ生まれの彼女がなぜ熱帯?
と思われませんか。


実はこの時マリアはドイツでの
離婚をきっかけに自分の母親の出身国オランダに住む事となり
やがて布教の為に南アメリカのスリナムに移り住むこととなっていました。(スリナムがオランダ領だったので)

それを機会にスリナムで彼女はじっくり南国の植物、昆虫を観察することができました。
その後もオランダースリナムを何度も行き来するマリア。
飛行機なんてありませんから、
ヨーロッパから南アメリカはお船で3ヶ月コースです。
スリナムでは、マラリアに感染してまで...
大変熱心に活動を続けた強い女性です。

そうして晩年、彼女はオランダに戻り、
1705年スリナムの昆虫類についてまとめた
手彩色銅版画集
Metamorphosis insectorum Surinamensium
ースリナム産昆虫変態図譜ー
を出版しました。

数年後、計71毎の図版にグレードアップした
Metamorphosis insectorum Surinamensium (Dissertatio de generatione et metamorphosis insectorum Surinamensium)
となって1719年に登場したようです。


既に1600年代植物画家としての業績をあげている彼女でしたが
当時未知の領域であった”昆虫の生態”への
着眼点は革新的であり、
昆虫学に大きなな貢献をもたらすこととなりました。

何故人々は虫に関心が無かったのでしょう。
実はルネサンス期までは疑いなく信じられていた
ある説があったのです。


紀元前4世紀の古代ギリシアの哲学者
アリストテレスの自然発生説。この影響で
この時代もまだ虫は悪魔だと思われておりました。

一人の女性が
イモムシを世話し、美しい蝶になりゆく行程を見守る姿、
熱心に調査する様子は
あまりに異様だったに違いありません。

実際、そんな画家から科学者の域に入りつつあったマリアは
魔女と思われた事もあったという事です。



本書インゼル文庫の351番



は24枚の図版を含む小さな編集作品ですが
そんな熱意に満ちた女性作家の努力の賜物なんですね。

幼少時代からの強い興味関心と、命がけの旅無くして
決して完成することのなかった
”スリナム産昆虫変態図譜”
インゼル文庫として現在もその一部を手元に迎えることができ
感動です。


それから、
同作家の植物画家としての本もまだご紹介しておりませんが
言うまでもなくこれまた素晴らしいので...

お手頃に陳列できる商品がご用意できましたら
今度ご紹介いたしますね!